数式の誤読はなぜ起こる?を考えてみた

「6÷2(1+2)=?」という小学生レベルの問題? 大勢の人が「1」と答え半分以上が不正解

http://getnews.jp/archives/114382

いろいろ突っ込みどころの多い記事なので、
突っ込んでいこうと思います。

【1】なぜ÷は書いてるのに×を省略するのか
まあ、「どうだおまえら間違えただろ」と言わんばかりに、
ミスへ誘導する気が満々ですよね、この書き方。
少なくとも、文字式でないこうしたアラビア数字のみの式の場合、
÷のみ書いて×を省略するというのは、自分は見たことがありませんし、
あるとすれば、それは数式として相当に作法の悪い書き方でしょう。
「×」でなくて「・」を使うことはありますけどね。

【2】これは小学生レベルの問題ではない
×を省略することが掛け算を意味するということは、
少なくとも現在の日本の小学校では習いません。
なので、これを小学生レベルの問題とするのは誤りです。

とりあえず、上記2点は、この記事に対する最低限の突っ込みです。
以下は、なぜこのようなミスリードが成立してしまうのかを、
自分なりに考えてみたものです。
下に行くほど、理系ちっくな話題になっています。

【仮説1】2(2+1)が、まとまって見える?
6と2(2+1)のあいだには、明確に「÷」の記号があるので、分離把握できるのですが、
2と(2+1)のあいだには、本来は掛け算があるところを記号が省略されているので、
2(2+1)全体が、あたかもひとつの数のようにみえてしまう、
なのでまずは2(2+1)という「ひとつの数」を計算して求めなければ!という仮説です。

【仮説2】べき乗の影響から、掛け算優先の印象が強い?
べき乗の計算は、四則演算よりも優先して行われます。
例えば、
 32 ÷ 2^3 = 4
ですが、
 32 ÷ 2 × 2 × 2 = 64
です。
どうも、このべき乗の優先順位の高さのイメージがあって、
「掛け算は割り算よりも優先して行われる」という印象が強いのでは?という仮説です。

【仮説3】割り算演算子のあとにくるものは、ひとまとまりと見る慣習がある?
割り算演算子「÷」は、中学校以降では「/」で書きます。
で、この記事の話を聞いてちょっと思い出したのが、物理の単位の書き方です。
気体定数Rってありますよね? 状態方程式「pV = nRT」 の「R」です。
あれは、物理屋さんぽく書くと「8.31 J/(mol・K)」なのですが、
教科書や参考書によっては、「8.31 J/mol・K」って書いてあるんですよね、結構。
もちろん、ここでの分母(割る数)は「mol・K」全体であるのですが、
「8.31 J/mol・K」という書き方では、「K」が掛け算に見えてしまいます。
なんとなく、ニュアンスわかっていただけるでしょうか。
この記事で言うところの数式に置換して考えてみると、
 6→J
 2→mol
 (1+2)→K
となって、対応しているわけです。
本来「J/(mol・K)」であるものが「J/mol・K」という書き方でも通用しているように、
逆に、「6÷2(1+2)」という書き方が、「「6÷(2(1+2))」に脳内変換されているのでは?という仮説です。

以上、長くなりましたが、とりあえずこの記事を見て自分なりに思いついたことを、
だらだらと書いてみました。

たまには数式をごりごりいじり倒したいですね。
ちなみに、いま自分は簿記・会計の勉強をしているわけですが、
公式や計算方法として教科書に載っているものは、基本的にはすべて自分で証明をして、
すっきりしてから使うようにしています。
減価償却の計算、キャッシュフロー見積の計算、利息の計算、などなどですね。
最小二乗法やリニアプログラミングといった管理会計分野の諸公式には、
すでに中学高校大学で証明済みのものもあるので、そういったものはそのまま使ってます。
まあ、ただの自己満足ですけどね、これはwww